消費の拡大は奇跡か幻想か?

Miracle or mirage? Shopping picks up
Although interest-free auto loans helped retail sales jump in October, economic recovery may be illusory.

  [San Francisco Chronicle Nov 15, 2001]

◆記事全文◆


本日の文は、サンフランシスコ・クロニクル紙の記事の見出しから。

同時多発テロの影響もあり9月には全米で小売販売額が2.2%落ち込んだが、10月には7.1%も増加したという。これには金利の低下と自動車メーカーのインセンティブによって自動車ローンがゼロ金利となり、自動車販売が26.4%増加したことが寄与しているとのこと。

ただ、自動車販売を除いても1%、小売販売額が成長していると言う。どうも理由がはっきりしないようだ。だから "Miracle or mirage?"「奇跡か幻か?」なわけだ。

確かに、大統領や各州政府の知事などは、9月11日以降、盛んに"Let's go back to normal."「いつもの生活に戻ろう」と呼びかけを行って、テロに屈しないことを示そうとし、消費の落ち込みも避けようと手を尽くした。 

サンフランシスコでは、"America Open for Business"という文字と星条旗がショッピングバックの形をしているデザインの入ったポスターも、街じゅうショップに掲げられて、少しでも客を呼び戻そうと必死だった。

サンフランシスコに来た観光客なら必ず行くFisherman's Wharfは、観光客の減少で、すっかり客足が落ちてしまったので、こういうときにこそ地元の人間が足を運ぼう、などとキャンペーンまで展開していた。なにしろサンフランシスコの人間は、"touristy"「観光客向け」だというと、すぐに馬鹿にして、足を向けませんからね。


さて、本日の文ですが、

pick up は、景気などが「上向く」と言う意味でよく使いますね。もちろん、「選びとる」とか車で人を「拾う」などという意味もあります。
illusionaryは、illusionの形容詞。illusionは、「幻想、錯覚」の意味。タイトルの最初にあるmirageとほぼ同じ意味です。mirageは、「蜃気楼」のことですから。mirageはフランス語からきた単語なので、発音がミラージュとなりますから気をつけましょう。まあ日本でも車の名前になっているから、皆知っているか。


本日の文は、次のような意味になるでしょう。
奇跡か幻想か? 購買(消費)が上向く
金利ゼロの自動車ローンが10月の小売販売の増加に寄与したものの、景気の回復は幻想か。

(Nov 18, 2001)

gaikokugo@geo-g.com

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