なんとか切り抜ける能力を持つインドネシア

Its currency is sliding, inflation is rising and its finances are a mess, but the Indonesian economy still managed to grow faster than expected in the third quarter, demonstrating what the World Bank says is the country's ability to "muddle through" the global slowdown and its own political confusion.

   [Internationa Herald Tribune  Nov 16, 2001]

◆記事全文◆



本日の文は、インターナショナル・ヘラルド・トリビューン(IHT)紙から。この記事はもともとはニューヨーク・タイムズ紙のものだ。IHTは、ニューヨークタイムズとワシントンポストという米国の2大クオリティーペーパーが母体となっているので、記事の質も高く、世界の情勢をざっと知るには、非常に便利な新聞だ。ウェブサイトもすっきりとしていて分かりやすく、しかも過去のアーカイブ記事も無料で見ることができる。

ニューヨーク・タイムズは、1週間を過ぎたアーカイブ記事の閲覧は有料となってしまうので、いつも引用するときには、記事へのリンクはつけていないが、今回はIHT掲載記事なので、記事全文へのリンクもつけておく。


本日の記事は、インドネシア経済は、なんだかんだと困難は抱えていても、成長しているというもの。7月から9月の第3四半期には、3.47%の成長率だったという。

インドネシアは、たいへんな国だ。まともな経済成長を続けるためには、ある程度の政治的安定は不可欠だが、残念ながらこの国にはこれが欠けている。

歴史を振り返ってみれば無理もないこと、と言えなくてもない。もともと一つの国家を構成するにはあまりに多様な民族を、かつてのオランダの支配下にあった地域というだけでインドネシアとして独立してしまったわけだ。国土は、膨大な数の島々からなっているし、言語も本当に複雑に入り組んでいる。とりあえず公用語をということで、この一体の商人たちの共通語であったムラユ語(マレー語)を「インドネシア語」として国語としている。宗教的な対立も含めて、しょっちゅう火花が散る。

その爆弾を抑えるために独裁というかたちでスハルトが居座っていたわけだが、それも吹き飛ん飛んでしまった今、次々と大統領が変わるのも無理からぬことかもしれない。


おっと余談が長くなったが、本日のポイント、"muddle through"は「なんとか切り抜ける」という意味。muddleは、mud「泥」から来ている言葉だから、"muddle through"というのは、泥の中で、もがきながらどうにか抜け出すイメージだ。

The American Heritage Dictionary では、"muddle through" は、"To push on to a favorable outcome in a disorganized way. " と定義されている。

本日の文は、次のような意味となる。
通貨は下落し、インフレ率は上昇、さらには財政はめちゃくちゃ。それでもインドネシア経済は、第3四半期には予想以上のスピードでの成長をどうにか達成している。これは、世銀が言うところの「世界経済の停滞と自国の政治的混乱を『なんとか切り抜ける』この国の能力」を示している。

(Nov 16, 2001)

gaikokugo@geo-g.com

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