New York Timesのポール・クルーグマンのコラムを読んでいて、ニュースメディ
アについて語ったなかで、こんな言葉が目に留まりました。
"For one thing, the influence of print news
has continued its long decline; for another, all five sources of
TV news are now divisions of large conglomerates --you get your
news from
AOLTimeWarnerGeneralElectricDisneyWestinghouseNewsCorp."
http://www.nytimes.com/2002/11/29/opinion/29KRUG.html
これは、良く言われていることなのですが、確かに米国の報道におけるテレビメディアの影響力とその集中の度合いは、高まる一方です。
上記の文の中でクルーグマンが言及している「5つのテレビニュースソース」と は、地上波の全米ネットワーク局ABC、NBC、CBSとケーブル局のCNN
とFOXニュースのことです。
ケーブルのニュース専門チャネルは、かつてCNNだけでしたが、いまやこれに FOXニュースとMSNBCが参戦し、鎬を削っています。(MSNBCは、
ニュースソースとしては実質NBCと同じためクルーグマンはこれを含めてず5つとしています。)
ケーブルでは、現在FOXニュースは視聴率でCNNを抜き、第1位の地位を占めています。FOXは、マードック率いるNews
Corp系列で、保守的な言説で知 られます。MSNBCは、視聴率が最近は低迷していて抜本的な改革を迫られているところ。
地上波の3大ネットワークは、平日夜の報道番組としては、ABCのピーター・ ジェニングス(Peter
Jennings)、NBCのトム・ブローコー(Tom Brokaw)、CB Sのダン・ラザー(Dan Rather)の名物アンカーたちの番組が影響力を持っています。
http://www.cbsnews.com/
このうち、NBCのトム・ブローコー番組は、部分的にネットで無料配信されています。(NBCとマイクロソフトの合弁であるMSNBCのサイト内にあります。)
http://www.msnbc.com/news/NIGHTLYTB_Front.asp
CBSのダン・ラザーの番組も部分的に無料配信しています。
http://www.cbsnews.com/sections/eveningnews/main3420.shtml
ABCのピーター・ジェニングスの番組は、RealPlayerの英語最新版 RealOnePlayerをインストールし、プレミアムコンテンツの有料契約をするとまるごとオンデマンドでネットにて見ることができます。(1ヶ月程度のアーカイブの視聴も可。)これを契約するとABCの調査報道番組、テッド・コッペル(Ted
Koppel)のNight Lineも合せてみることができます。
ピーター・ジェニングスのWorld News Tonightは、日本ではNHKのBSでも一部が編集されて放送されています。
http://www.abcnews.go.com/Sections/WNT/
http://abcnews.go.com/Sections/Nightline/
日曜日の朝の報道対談番組も、各局が鎬を削る枠です。
この枠でいま最も米国で視聴率を稼いでいるのは、NBCのMeet the Press です。閣僚や大物政治家などが次々に出演し、みな注目しています。日本で言えば、サンデープロジェクトで田原総一郎が重要な発言を引き出そうと政治家に迫るようなイメージです。但し、インタビューのスタイルはかなり違いますが。Meet
the Pressも一部はネットで無料で見ることができます。トランスクリプトも公開されます。
http://www.msnbc.com/news/meetpress_front.asp
同様の時間帯で、ABCのThis Weekは長年デイビッド・ブリンクリー(David Brinkley)がホストを務め人気を博していました。ブリンクリーの引退後、サム
・ドナルドソン(Sam Donaldson)とコーキー・ロバーツ(Cokie Roberts)の2人がホスト役を務めまていましたが人気が今ひとつ。Meet
the Pressにも水をあけられました。
そこで起死回生とばかりに起用したホストが若々しく甘いマスクのジョージ・ステファノポロス(George
Stephanopoulos)。ステファノフポロス(名前が長くて下を噛みそうですがギリシャ系です)は、リベラルとして知られ、クリントンの
側近としてホワイトハウスで仕事をしてからABC入りした人物です。ですから、 彼の起用に当たってはその民主党の党派性が、報道番組の司会として不適切という声も聞かれました。
ステファノポロスは、"All
Too Human"という本を書いてクリントンの大統領戦や政権の内幕を赤裸々に描き、クリントンと袂を別っています。この本は選挙戦や政権の内情がわかって面白いのでお勧めです。
クリントンの選挙戦を描き、このステファノポロスと大統領選参謀のジェームズ ・カーヴィル(James
Caville、現在はCNNの討論番組Crossfireのリベラル側ホストを務める)の2人を主人公とした"War
Room"というドキュメンタリー映画もビデオやDVDになっています。
このThis Weekは、日本ではNHKのBSで月曜に放送されています。
http://abcnews.go.com/Sections/ThisWeek/
(2002年12月2日)
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