「代り映えしないメンツ」を英語で
"Old wine in new bottles."
マクレラン報道官の辞任など、ホワイトハウスの「人事異動」に関するレポートで、ある評論家は上記のように評していた。元は"new
wine in old bottles"(古い皮袋に入れた新しい酒⇒旧来の形式では律しえない新しい考え方)で聖書から。newとoldを取り替えて、"Old
wine in new bottles."とすることで、「顔(ボトル)は代わったけど、大局(ワイン)は変わってない」と批判したもの。座布団一枚!今日は金曜だし、ワインでも頂きますか。
ユダ=「裏切り者」に新解釈!
"Jesus asked Judas to betray him."
えっ、マジ?ユダ(Judas Iscariot)と言えば銀30枚でキリストを売った裏切り者。しかし、米国地理学協会の発表によると、イスラエルで発見された古代コプト語の写本に記してある内容をまとめると「イエスがそうさせた」ことになると言う。
"With an infamous kiss, Judas Iscariot sealed
the fate of Jesus Christ, handing him over to the Romans. The Bible
says he did it for 30 pieces of silver. Ever since, Judas has been
known as the betrayer of Jesus, eternally damned and unforgiven."(ABC
Nightline、4月7日)
歴史上の解釈は上記のトランスクリプトの通りだが、この古代写本(codex)によると、"Jesus
put him(Judas) up to it."(イエスがユダに自分を密告するよう仕向けた)となるそうだ。
Nightlineのレポートの中で専門家は、
"In the New Testament, Jesus only uses the word 'friend' in
addressing one person, Judas Iscariot, when he tells him, 'Friend,
go do what you gonna do.'"と語っている。
私自身驚きはしたが、個人的にはこちらの説の方が納得がいく気がする。これまでも「なぜユダはイエスを裏切ったのか」という疑問に充分答えたものがなかったからだ。この点はNightlineでも次のように触れている。
"The question that stumps even the scholars is "Why did
Judas turn Jesus in?" The Bible says Judas did it for 30 pieces
of silver. A good enough motive to sell out your messiah?"
この専門家の結びの言葉はこうだ。
"The New Testament points to the fact that Jesus had an idea,
it was part of a divine plan for him to be turned over to the authorities
and that Judas had to do it."
「神は全てお見通し」という訳だ。
同じテーマを扱ったNewsweekの"Revelations: A New Judas"(4月9日)では、"Passion-gate"(「受難ゲート」)と呼んでいた。これは座布団2枚。勿論、「〜ゲート」は「ウォーターゲート事件(72年)」から。今回はこの辺で。
「プリウス」にバッシング
"Prius backlash"(「プリウス・バッシング」(私訳))
ガソリンの値段が高騰し続けるアメリカでは、トヨタのプリウスを始め、燃費が圧倒的に優れているハイブリッド車の売れ行きが好調。納車まで数ヶ月待ちの状態も。購入時の援助や税制上の優遇措置、駐車の際の優先権に加え、HOV
(High Occupancy Vehicle) laneと呼ばれる「複数乗車車両専用車線」もプリウスなら一人で走れるなど、かなりの優遇だ。
その一方、「プリウスなんかに乗って、『私はガス代と地球環境にも気を配っているのよ』とでも言わんばかりの『いい子ぶりっ子』を優遇するとは何事そ!」とお冠の人たちもいて、LAではこの現象を"Prius
backlash"(直訳は「プリウス反発」)と呼ぶそうだ。座布団一枚。『いい子ぶりっ子』も私訳で、元は"teacher's
pets of the road"。
上記の出所は、ABC Nightline "Pain at the Pump"(4月22日)。pumpはgas
pumpのことで、ここではガソリンスタンドのこと。price at the pumpなら「ガソリンの値段」で、pain at the
pumpなら「ガス代高くてアイタタタ!(私訳)」のニュアンス。pの音を重ねていること(頭韻)にも留意。
こうしたストレートニュースでも「言葉遊び」は英語にはかなり見られる。日本語で言えば、「ブロードキャスター」(TBS)の『お父さんのためのワイドショー講座』の項目見出し程、柔らかくはないかもしれないが、英語ニュースでの「言葉遊び」からは、スクリプトを書いた人のユーモアのセンスや知的レベルも垣間見られる。聖書からの引用や映画のタイトル・台詞などは目立つものだが、一般人も含めて一番馴染みがあるのは、上記のような頭韻
(alliteration)だろう。ではまた。
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