米国大統領選は、事前の予想通りオバマの圧勝となりました。
投票直前の先週土曜日に、Vital
Englishの中級英語勉強会で、大統領選挙についてお話をしましたので、選挙結果を踏まえて私の雑感を少しお伝えしたいと思います。
一般投票(popular vote)の得票率では、Obama 53% vs McCain 46% と、直前の世論調査の数字とほぼ同じでした。先日の勉強会のときにオバマの得票が伸びない可能性の一つとして指摘したBradley
Effect (ブラッドリー効果:事前の世論調査では黒人候補に投票すると答えた人が、実際には白人に投票する傾向)が、ほとんどなかったと言えるでしょう。
Bradley Effectに関しThomas
Friedmanが開票直後のNew York TimesのOp-Edコラムで面白いことを書いています。
▼ “Buffett effect”(バフェット効果)とは一体何か?
彼いわく、今回の選挙ではBradley Effectではなく、“Buffett effect”とでも言えるような現象が起こったのではないか。白人保守層が、自分たち同士ではMcCainに投票すると言っておきながら、実際にはこっそりとObamaに投票したのではないか。
この"Buffett"とは勉強会のときにも少し触れたWarren Buffettのことですが、Buffettが言うように所得も高く恵まれた人は、米国に生まれた幸運を感謝すべきで、国を一つにまとめ再建することに力を尽くような大統領を選ぶべきだ。
このBuffettの主張に白人保守層も共鳴したのではないかといっています。オバマが当選すれば、高額所得層にとっては増税になるとしても。
また、白人保守層も、その子供たちはオバマが大統領になることに、鼓舞され希望をもっているので、親はそれをつぶしたくない。さらには、親自身もその希望と感情の高まりを共有したい、という気持ちが働いたのではないか。
このようなことを言っています。
このFriedmanの言は戯画的に過ぎるにしても、若年層がオバマ大統領誕生への原動力になったことは間違いないでしょう。米国が一つになることを訴え続け、人を引き付け鼓舞してやまない(inspiring)そのスピーチが若者の心を捉えたはずです。選挙時の出口調査の結果をみても、29才以下では実に66%がオバマに投票しています。
それから黒人(アフリカ系)の投票率が大幅に伸びたことが非常に大きく働いています。ただでさえ黒人は民主党の地盤ですが、黒人大統領誕生への期待から投票率が大幅に伸び、投票した人の中では圧倒的な95%がオバマへと投票しました。
▼ヒスパニックはどう動いたか
勉強会でも詳しく触れましたが、Hispanic/Latinoの動向も今回は顕著でした。
(HispanicとLatinoという言葉は、通常のアメリカ英語では同じ意味で使われていますが、その背景については私が2002年の勉強会で話をした内容をご参照ください。)
Hispanicに人気のあったブッシュから、ようやく今回は民主党が票を奪い返したという現象です。
オバマは、民主党の予備選時にはヒラリーにHispanic票を奪われっぱなしでしたが、本選挙ではしっかりと67%のHispanic票を獲得しました。
フロリダ州は激戦州で、選挙結果が接戦だった場合にはゴアvsブッシュの選挙のように注目を集める可能性もありましたが、今回はオバマが難なく制しまし
た。
ここでもHispanicは大きな鍵を握りました。キューバ系移民が多く従来からフロリダのHispanicは共和党寄りでしたが、今回は57%がオバマに投票したのでした。
データは下記を参照しました。
-Pew Research
-CNN
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